学園長挨拶

世界平和に貢献できる自立(律)した女性に

学園長 中山洋司

Hiroshi Nakayama
Chancellor

 私は、「教育の目的は?」と問われた時、「それは自立(律)です」と答え、そして「何のために学ぶのですか?」との問いには、「平和な世を創るためです」と答えています。

 本学園の創立者河井道は、「広く世界に向かって心の開かれた女性を育てなければ、決して戦争はなくならない。そのためには、少女から真に自立をして世界平和に貢献できる幅広い女性に育てていきたい。」と願い、1929年に恵泉女学園を設立しました。本学園の根底にあるのは女性の自立と平和なのです。

 私は今までの教職経験から人が自立(律)するには、学力と人間力の二つを兼ね備えることが必須であると確信しています。したがって学校教育は、学ぶ全ての生徒・学生に学力と人間力を保障することです。具体的には教育内容を精査し、環境を整えて学習者自身が主体的に修得していけるように教育活動を実施することが重要になります。

学力(知)を育てる

 本学園では、学力を育てることを「学力の確保(知を育てる)」と称しています。ただ単に与えられた事項を覚えるだけではなく、じっくりと学習者自身が自分の内で知を醸成し、理を獲得していくことを意味しています。ところが今日の教育活動は、目先の大事を追い求めるあまり安易な知識注入型の指導に陥りやすい傾向があります。私は、幼稚園から大学までの教育に携わってきましたが、校種が上がるにつれて主体的に学ぶ機会が少なくなるのに驚きを感じました。もっとも重要な知を醸成する過程が欠落しているからです。

 本学園中学・高等学校では、「考える恵泉」を合言葉に考える力と発信力に重点を注ぎながら知を醸成し、その結果として確かな学力を確保させています。大学では、地域貢献やフイルドワーク・卒業論文等のアクティブラーニングを実施しながら知を醸成し、未来に役立つ生涯就業力を育んでいきます。

人間性の涵養(心)を育む

 人間力の欠如は、日本の教育で大きな課題の一つです。本学園は「人間性の涵養・心を育む」と称して、創立当初から他校では見られない「聖書」「国際」「園芸」を、正科に取り入れて人間力を育ててきました。

 グローバルな時代は、今後さらに進みます。私たちは、その社会環境の変化と求められる人材像に応えるために「聖書」「国際」「園芸」を、時代のニーズに対応させて教育を展開し人間力を育んでいきます。

学力と人間力は、単独では成り立つものではなく、互いに影響し関連し合いながら高められ成長していくものです。日々の教育活動を通して調和よく育んでいきたいと願っています。

本学園は、2029年に創立百年を迎えます。今後の四年間を発展期ととらえ、恵泉に学ぶ一人一人がキリスト教に触れて、人間の基本的なあり方や生き方、そして広い視野と他を愛する心を持ち、主体的な活動を通して豊かな学力と人間力を身に備え、平和に貢献できるようにたくましく自立し、汝の光を輝かせることのできる女性を目指して自らを育んでいくことを願っています。